「何を・どれだけ・食べるか」をはかる便利なモノサシ
健康長寿のために、「何を・どれだけ・食べればよいか」は、実践栄養学に携わる研究者・実践活動家にとって、いつの時代でも大きな課題であり、健康を願う人々のリクエストでした。

「食のモノサシ」といえば、すぐ頭に浮かぶのが「〇〇式食事法」。
食事摂取基準などのエビデンス(科学的根拠、検証)が確かで、だれでも使いやすい条件を満たした「食のモノサシ」にも、「三色食品群」「四群点数法」「6つの食品群」「食事バランスガイド」などいろいろ、点数や単位も加わって多種多様。

栄養士などの栄養・食事指導でも、「食事のモノサシ」への関心は高いようで、キャッチフレーズに使ったり、「手ばかり」「目ばかり」といった具体的アイデアも結構見られます。

群羊社の教材にもある「3・1・2弁当箱法」も人気の「食のモノサシ」で、適量で栄養素のバランスはもちろん、味・くらし・環境面にも目を向けています。


72年前「調味パーセント」が「料理のモノサシ」のルーツ?
料理や調味の「モノサシ」として有名なものに「調味パーセント」があります。
なんと72年も前に実践栄養学の先駆者 香川綾により発明され、みずから「料理のものさし」と呼んでいました。

香川綾はヒトの生理的食塩水0.8%を基準に五味とのバランスも研究、栄養があっておいしい料理を簡単に再現してもらうために、あるいは勘と経験に頼っていた“秘伝”の味を誰にも再現できるように、「調味パーセント」を開発。

料理の再現性を実現し、料理カードの開発につなげました。栄養学の普及に尽力し、研究や教育はもとより、実践活動にも重きを置きました。

「調味パーセント」「主食は胚芽米・副食は魚一(うおいち)豆一野菜四」などの「モノサシ」のほか、基本料理カード、計量カップ・スプーン、四群点数食事法、栄養家計簿、月刊誌『栄養と料理』など多くの「実践的教材」を生み出し、時代を駆け抜けた素晴らしい先駆者でした。


「調味パーセント」生みの親 香川綾(1899~1997 享年93歳)の著作と記念誌
IMG_9028
『一皿に生命こめてー栄養学に賭けた私の半生』(香川綾, 講談社, 1977)


IMG_9029
『食のことづて』(一粒の麦の会, 2003)


喜怒哀楽DONBURIミニ事典
※調味パーセント
長い経験により工夫されてきた家庭料理の「標準の味」やこだわりの職人の味を数値(%)で表したものが「調味パーセント」。

材料の重量に対する塩分量や糖分量の割合で表わされ、1人分でも100人分でも勘に頼ることなく、栄養がありおいしい料理作りが科学的にできるモノサシ。

塩分制限が必要な場合にも役立ちます。
例えば、魚の煮つけ1.5~2%塩分、糖分は鮮度や種類により2~7%、ハンバーグは0.4~0.6%塩分、お浸しは0.8~1%塩分など。

詳しく知りたい方は・・・
『栄養と料理』3月号、『七訂 食品成分表2020』(いずれも女子栄養大学出版部発行)

©群羊社(2020.2.18, 文責M)